結膜炎について

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田中 由衣子 先生 獣医師
目次

結膜の構造

ヒトで「ものもらい」「はやり目」として知られている結膜炎ですが、ねこちゃんにもあるのでしょうか。そもそも結膜とはどのような構造なのでしょうか。

 結膜は、まぶたの内側を目張りしている眼瞼結膜と、そこから眼のふちで折り返して眼球の表面を覆う眼球結膜によって構成されています。言い換えれば、まぶたの裏と白眼の一部表面ですね。これらは、血管や神経が豊富に分布しており、角膜や結膜が刺激されると涙が出るのはこのためです。

結膜には涙の一種を分泌する細胞が存在しています。また、涙をいきわたらせたり、眼表面からの感染に対抗したりする機能があります [1]。

 

結膜炎の病態

結膜炎は、文字通り結膜に炎症が起こる状況のことですが、一次性(原発性)と二次性(続発性)にわけられます。二次性の結膜炎の場合、原因となる眼の病気があり、それに伴い結膜炎が起こっているため、原因を治療することが必要です。原因疾患としては、眼瞼欠損症(先天性の病気)などが挙げられます。

一次性の結膜炎(以下、単純に「結膜炎」と表記します)は、感染(細菌やウイルス、真菌、寄生虫)や免疫異常(アレルギーなど)によって生じます。

ねこちゃんの結膜炎で最も一般的な原因はウイルスであり、これはねこちゃんの眼の病気として最も多いといわれています。原因ウイルスとして一般的なのは、ヘルペスウイルス・カリシウイルスです。これらウイルスは「ネコ風邪」の原因といわれ、呼吸器症状も合併しているねこちゃんによく遭遇します。ウイルス性結膜炎は、どんなねこちゃんにも生じえますが、若齢のねこちゃんや猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)猫白血病ウイルス感染症(FeLV)などのウイルスに感染しているねこちゃんは免疫が弱い傾向があり、特に発症しやすいです。また、多頭飼いだとお互いに移しあってしまうことも多いといわれています。

その他の感染性結膜炎の原因としては、クラミジアやマイコプラズマなどの感染や、東洋眼虫という寄生虫の感染などがあります。また、免疫異常としては、ほこりや空中の化学物質などの環境因子や植物によるアレルギーなどがあるといわれています。

 

症状

結膜炎が起こると、眼が開きづらい、まばたきや目やにが増えるといった症状がよく見られます。また、結膜や瞬膜が赤く腫れることもあります。

慢性化すると結膜が角膜や瞬膜に張りついてしまい、ひきつれて動かなくなることもあります(眼球癒着)。

 

検査

まず視診触診にて結膜に腫れがあるかなどを確認します。そのうえで、角膜に傷がついているかの検査として、フルオレセイン染色やスリットランプ検査を行うことがあります。フルオレセイン染色では角膜に傷があるかを、スリットランプ検査では傷の深さや角膜の分厚さなどを、確認することができます。原因を調べるために目やにを顕微鏡で観察したり、感染症の検査やアレルギー検査が必要になることもあります。

同時に、飼育環境や発症のタイミングが原因を探るヒントになることがあります。一緒に暮らしている他のねこちゃんに症状がある、ソファの下やベランダにいたあとに症状が出るなど、気づくことがあれば獣医師に伝えられるようにしておきましょう。

また、治療した結果を見て検査に代える、診断的治療をすることもありますので、飼い主のみなさまも治療反応をよく確認するようにしましょう。

 

治療

結膜炎自体は、ねこちゃん自身の免疫力で自然治癒することも多いといわれています。しかし、眼の違和感は著しく生活の質を下げてしまいます。眼はとてもデリケートな臓器で、悪化するときは急激で、取り返しがつかないレベルになるのも早いという特性を持っています。眼の違和感がある場合には、深刻な病気が隠れていないか、念のために動物病院で診察を受けるようにしましょう。

ウイルス性結膜炎の治療の際、残念ながら、ヒトのインフルエンザやコロナウイルス感染症と同じく、ウイルスを駆除することはできません。しかし、免疫をサポートするためにインターフェロンという免疫因子を投与したり、ウイルスの勢いを抑えるために抗ウイルス薬を投与したりすることがあります。この病気は、一見治っても、ねこちゃんがストレスにさらされたり身体が弱ったりすると再発する傾向があります。そのたびに悪化しないよう対処していくことが大切です。

クラミジア感染症の場合は抗菌薬の内服や点眼が必要となり、治療には長期間かかることが多いといわれています。

東洋眼虫が原因の場合は、物理的に寄生虫を摘出することや駆虫薬の投与が必要です。同時に、また寄生されないためにご自宅での飼育環境も見直してみましょう。

アレルギー性を疑う場合、病院では眼の洗浄や抗アレルギー薬の処方をすることがあります。こちらも、可能な範囲でねこちゃんがアレルゲンにさらされないように工夫してみましょう。

原因にかかわらず、ねこちゃんが眼をこすらないようエリザベスカラーの着用が必要になることがあります。また、二次感染を抑えるために抗菌薬の点眼をつかうこともあります。いずれも、獣医師の指示に従って適切におこなってあげるとよいですね。

参考文献
1. カラーアトラス獣医解剖学、König他、2008年
2. 伴侶動物の眼科診療、余戸卓也、2016年
この記事を監修した人
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田中 由衣子 先生 獣医師

東京都出身。幼少期から動物が好きで、いろいろな生きものを追いかけて育つ。卒業後は腫瘍研究をしながら、小動物臨床に携わってきた。数年前から研修もはじめ、ねこちゃんとそのご家族に最適な治療を提供すべく、日々勉強に追われている。

発行・編集:株式会社トレッタキャッツ

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